#06 一の瀬で過ごすノイズレスな時間。

一の瀬は、春夏秋冬を通して、乗鞍らしさや、乗鞍の静けさをじっくりと味わえる場所。そして地元の人にとっても、変わらず美しい景観を守ろうと特別大切にしている場所でもあります。辺り一面に静寂が広がり、どこか懐かしさも感じる神秘的な一の瀬。その一の瀬でのノイズレスな時間の楽しみ方をご紹介します。

❶ 静寂が広がる 一の瀬

一の瀬は、緑の草原に白い白樺、遠くに乗鞍岳と青い空。春夏秋冬、乗鞍らしい風景が広がる場所です。山間部には珍しく、起伏の少ない平野が広がっています。その中を遊歩道がめぐらされ、池や植物、野鳥など自然を身近に感じながら、静かでゆっくりとした時間を楽しめます。

何か目的を持って一の瀬へ出かけるのも素敵ですが、一の瀬では「何もしない時間」をもつのに最高の場所です。静寂が広がる一の瀬では、忙しい日々から心身ともに解放され、ただただ、「今この時」を味わうことに集中できるからです。

❷ 水鏡が美しい池の数々

乗鞍高原は、乗鞍岳の噴火で形成された溶岩台地。中でも一の瀬は、その窪地に水がたまった池がいくつもあり、水辺をめぐる穏やかな時間を持てます。風のぴたりと止んだ凪の時は、周囲の景観を写しこんだ水鏡に引き込まれる心地に。逆さ乗鞍もひと際美しく見えます。水面を眺めていると、心も自然と凪の状態になっていくような気がします。


<まいめの池>乗鞍岳を映し込む池で、秋は紅葉が色を添えてくれます。撮影ポイントとして、大変人気があります。

<あざみ池>池の回りを周回しながら楽しむことができ、ミツガシワ・ベニバナイチヤクソウなどの植物やモリアオガエル・アオイトトンボなどの昆虫、アオジ・クロジの野鳥など、様々な自然観察ができます。乗鞍岳は見えませんが、静かな佇まいの池です。

<どじょう池>春 水芭蕉が咲く頃、乗鞍岳を映して素敵な景色を見せてくれます。初夏にはミツガシワが咲き乱れます。

❸ 水芭蕉とレンゲツツジ

池や湿地が点在し、山からの綺麗な水が流れる一の瀬では、その場所を選んで凛と咲く花々に出会えます。どじょう池のほか、一の瀬の奥地にある「女小屋の森」や「オソメジッケ」では、雪融けと共に水芭蕉が一斉に咲き乱れ、幻想的な雰囲気に包まれます。

6月になると、燃えるように咲くレンゲツツジが一の瀬を彩ります。つつじ園から乗鞍岳を見渡すと、レンゲツツジの赤と雪の残る乗鞍岳の白と一の瀬の新緑とが重なって、自然の奏でる調和的な色彩からもエネルギーをもらえる心地がするのです。

❹ 川辺で感じる心地よさ

山からの雪融け水がさらさらと流れる一の瀬の川辺は、夏に涼を求めて必ず訪れたくなる場所です。川の水のあまりの冷たさに、初めのうちはびっくりしますが、次第に慣れてくるから不思議です。川辺で読書したり、たまに足をつけてみたり、辺りの音に耳を澄ませたり。何もしなくても、ただただ癒される時間を持てます。

一の瀬の川辺は、地元の子ども達も大好きな水遊びスポットです。水遊びに夢中になる子ども達の姿を見ているだけでも、なんだか童心にかえるような心地がします。

❺ 秋の彩りと静けさと

一の瀬の紅葉は、地元の人達も一年の中でとても楽しみにしています。辺り一面の秋色の重なりは美しく、特別な言葉はいりませんね。土日は少し賑やかな時もありますが、平日に訪れると、その彩りが静けさと共に余計に染み渡ります。

特に朝の早い時間帯は、ノイズレスに浸れる時間。水面には紅葉がクリアに写り込み、靄が立ちこめる幻想的な風景が広がることもあります。温かい飲み物を持って、一日の始まりを一の瀬の彩りの中から始めてみる。そんな秋の贅沢なモーニングタイムをもってみるのはいかがでしょう。

❻ 銀世界でノイズレス

冬の一の瀬。それは最高にノイズレスな場所です。スノーシューやネイチャースキーで冬の一の瀬に訪れると、普段どれだけ騒音の多い所に暮らしているかを身に染みて実感するかもしれません。静寂のない暮らしに慣れていると、一の瀬での何も聞こえない時間は、とても神秘的なものに感じられるようです。

どこまでも真っ白な雪の世界にぐるりと囲まれて、音も雪に吸収されるのか本当に静か。まるで別世界に訪れたかのよう。そこに在るのは、辺り一面を覆う白い雪と、空に向かって梢を伸ばす木々と、そしてまっさらな雪の上に残された野生動物の足跡と。余計なものは何もなくて、冬景色はただただ美しくて。自分自身もシンプルな存在に立ち返るような心地がするのです。


いかがでしたでしょうか。 日ごとに自然の移り変わりを感じられる一の瀬は、毎日のように訪れても、その時々で発見があるようです。ぜひ、一の瀬でのノイズレスな時間を思い思いに楽しんでみてはいかがでしょう。

乗鞍高原らしさを味わえる場所

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