#12 のりくら高原ミライズ始まる

乗鞍高原は、自然を活かし、自然に生かされながら人々の暮らしがあり、またこの地へと観光に訪れる方をお迎えしています。時代の流れや社会状況の変化と共に、様々な課題に直面する今。次の時代へと歩みを進めていくため、地域共通のビジョンや、その達成に向けた取組みを「のりくら高原ミライズ」として整理し、実行に向けた動きが始まりました。そんな、これからの乗鞍地域の鍵を握る「のりくら高原ミライズ」について、ご紹介します。

❶ のりくら高原ミライズとは

「のりくら高原ミライズ(以下 ミライズ)」 とは、乗鞍高原が直面している課題、持続可能な地域づくりのあり方(目指すべき姿)、今後の具体的な取り組みについて記載した地域ビジョンです。多様な地域関係者が協働で地域づくりをしていくための指針として、また進むべき方向性に迷いが生じたときに立ち返る共通の価値観として、活用するものです。

ミライズは、令和元年に(一社)アルプス山岳郷が地元住民と行ったワークショップ及びアンケート調査を元に作成した「乗鞍地区の未来へ」という地域住民の思いをとりまとめた地域の共同概念がベースになっています。その後、環境省中部山岳国立公園管理事務所がコーディネーターとなり、地元関係者を交えたワーキングや日々のコミュニケーションを通じて整理を行い、令和3年3月に作成されました。

❷ みんなで共有したい乗鞍宣言

ミライズでは、乗鞍地域のあり方を示す以下の5つの宣言を記しています。

(1)私たちは乗鞍高原の自然と暮らしが大好きだ。
(2)私たちはこの暮らしを、未来へと持続させることが使命と考えます。
(3)私たちは乗鞍高原を愛してこの地を訪れる人々を、心から歓迎します。
(4)私たちは今日まで培ってきた乗鞍高原らしさをしっかり引継ぎ、静かで落ち着いていて、それでいて温かくて優しい山岳観光地域をつくっていきます。
(5)私たちは地球環境問題の解決に向け、世界の先駆けとして地域単位の取組みに率先して取り組みます。

この宣言には、乗鞍に暮らす地元の人たちの思いや、未来を創っていく意志が凝縮されています。この地域に暮らす人だけでなく、この地域を訪れる皆さんや、この地域に関わる皆さんともこうした思いを共有することで、地域の理解やつながりがぐんと深まりそうです。

❸ 環境・暮らし・観光を基盤に

ミライズの核となるビジョンは、環境・暮らし・観光の3要素を基盤とし、それぞれが相互作用しながら持続可能な地域社会を形成していくことです。「自然を活かし、自然に生かされる、持続可能な暮らしづくり」という価値観を共有しながら、「乗鞍高原から地球環境問題を解決」・「人と自然がつながる豊かな暮らし」・「地域全体の活性化につながる観光振興」を目指しています。

先人たちが培ってきた乗鞍らしさを大事にしつつ、停滞しがちだった地域から歩みを進め、様々な挑戦に取り組んでいくことが示されているミライズ。まだ、誰も見たことのない、ワクワクする乗鞍の未来がここから始まろうとしているのです。

のりくら高原ミライズより

❹ 第1回のりくら高原ミライズ構想協議会

令和3年3月30日に、ミライズを推進するための協議会「のりくら高原ミライズ構想協議会」が新しく設置され、第1回目の協議会が開かれました。この協議会は、乗鞍高原関係者一同を構成員とし、事業の実施やその進捗管理を行うものです。

当日は、協議会の構成員が一同に会し、協議会の立ち上げと、地域共通の重点取組事項の実施予定について互いの認識を共有しました。 所属や立場を越えて、地域を創る共同体の一員として、それぞれがそれぞれの役割を見つけ、主体的に行動することがビジョン実現の大切な鍵になる。そんな前向きな空気が会場には満ちていました。

協議会構成員:環境省、松本市、長野県、アルピコ交通、Blue Resort 乗鞍、休暇村乗鞍高原、アルプス山岳郷、大野川区、信州・乗鞍グリーンツーリズム、のりくら観光協会

❺ 大事にしたいこと(宮下 のりくら観光協会長より)

「これからの乗鞍高原は、誰でも彼でもたくさんの方に来て頂こうということではなく、乗鞍らしさを共感できる方にこそ来て頂けたらと考えています。乗鞍らしさというのは、この豊かな自然の中に日々生かされているということ、また日々の自然の変化を敏感に感じ、そこに素晴らしさを感じられる、自然と共にある暮らしそのものです。」

「そのためにも、環境整備には特に力を入れる必要があります。この地域をつくってきた先人にならって、一の瀬を中心とした環境整備やトレイル等の整備を通し、ここに暮らす人も、ここを訪れる人も乗鞍の豊かな自然環境を十分に享受できるよう取り組みを進めていけたらと考えています。」

「ミライズとして地域のビジョンが掲げられ、実現のための具体的な取組みが示されて、乗鞍高原の新たな地域づくりがスタートすることとなりました。ビジョン実現に向けた取り組みを通して、地域に必要な人と人とのつながりや関係性を構築することが、もう一つのゴールかもしれません。その動きと並行して、次世代を担う若者や、この地に魅力を感じて移り住む方を迎え入れるための取組みも、合わせて一歩ずつ進めていけたらと考えています。」

宮下観光協会長
宮下了一 観光協会長


いかがでしたでしょうか。乗鞍高原は、持続可能な地域づくりに向けて動き出しました。今後も随時、ミライズの動きを発信できたらと思います。これからどんな風に乗鞍地域が創られていくのか、見守っていただいたり一緒に関わっていただけたら幸いです。

「のりくら高原ミライズ全文(PDF)」はこちら
(外部リンク:信越自然環境事務所)

のりくら高原ミライズ イメージイラスト
のりくら高原ミライズ イメージイラスト