お花は山に登る楽しみの一つ。可憐に咲く高山植物を見つけると、心に灯がともるような嬉しさを感じる方も多いかもしれません。乗鞍岳も高山植物の宝庫です。7月中旬~8月中旬に、標高2700mの「畳平」へ上ると、「天空のお花畑」とも呼ばれる高山植物のお花畑が広がり、毎年たくさんの高山植物ファンを喜ばせてくれます。ここでは、畳平周辺で見られる高山植物の楽しみ方をご紹介します。
❶ シャトルバスに乗って畳平へ
乗鞍高原観光センターから乗鞍岳シャトルバスに乗ると、エコーラインを通って約1時間で「畳平」バスターミナルへ到着します。バスターミナルの脇から階段を降りて行くと、色・形も様々、個性的で可憐な高山植物に出会えます。
バスターミナル脇から階段を降りると、お花畑を一周する木道が整備されています。その木道を約15~20分ほどテクテクと歩いて一周しながら、高山植物の花々を見て楽しむことができます。
※2021年7月現在、畳平の木道は落石による影響で、一周はできません。



❷ 畳平周辺で見られるお花
高山植物は見るだけでも楽しいものですが、「あの花」「その花」ではちょっと勿体ないかもしれません。名前を知ったり、どんな植物なのかを知ると、お花を見つける楽しみが大きくなり、より愛着がわくことでしょう。ポケット図鑑やルーペを持って出かければ、その場で同定ができて花観察をもっと楽しめます。
ここでは、お出かけ前にチェックしておきたい、畳平周辺で見られる代表的なお花をご紹介します。
※お花は気候や日照条件により開花時期が前後します。
※高山植物の写真提供:筒木 秀子さん
❸ 高山植物の女王 コマクサ
高山植物の中でも、ひと際存在感を放つのが「コマクサ(駒草)」です。コマクサは、常に砂礫が動いて他の植物が生育できないような厳しい環境に単独で自生し、十数年かけて美しく可憐なピンクの花を咲かせます。その孤高の姿は、「高山植物の女王」と呼ばれるにふさわしく、多くの人を魅了します。
❹ 高山植物を楽しむ際に気を付けたいこと
よく「撮って良いのは写真だけ。残して良いのは足跡だけ。」と言われますが、高山では足もとにも細心の注意を払いたいものです。厳しい条件のもとで生育した高山植物は環境の変化に強いようで弱い部分もあります。写真を撮るだけと言う気持ちで一歩踏み込んだその足もとにやっと根付いたばかりの個体が生えているかもしれません。まだ薄暗いご来光登山の歩行中にも、気を付けたいものです。
乗鞍岳は中部山岳国立公園。当たり前ではありますが、「動植物は捕らない」「登山(木道)コースをはずれない」「ゴミは持ち帰る」などの基本的なルールを守って登山を楽しむとともに、美しい自然を未来に残していきたいですね。