#17 乗鞍岳登山の服装・持ち物ガイド

乗鞍岳は手軽に登ることができますが、3,000m峰ですので油断は禁物。山の天気は変わりやすく、朝は晴れていても午後は天気が不安定になりがちです。様々な気温・環境に対応できる服装・持ち物を準備しておきましょう。ここでは、登山初心者の方のために、主に7月~10月の乗鞍岳登山に必要な服装・持ち物をガイドします。

❶ 乗鞍岳登山の服装

山は平地とは気象状況が全く変わります。標高3000m前後の乗鞍岳に登るのなら、重ね着を基本に、15℃以上の温度差や天候の変化に対応できる服装の準備を。風が吹くと体感気温はぐんと下がります。変わりやすい天気や気温に対応するため、服装選びには注意しましょう。

夏山登山の服装

イラストは一例です。
季節、天候、登山の目的に合わせた装備で。

❶ 帽子 紫外線・熱中症予防に。防水性があるものなら雨が降っても安心。
9月10月はニット帽があると寒さにも対応できます。
❷ ザック日帰りなら小型の20~30リットル位の大きさ。
ウエストベルト付属のザックを使用すると楽です。
❸ ウェア重ね着で温度調整できるものを。長袖・長ズボンが基本。
下着は速乾タイプの素材がおすすめです。
防風性のあるウインドブレーカも必要(レインウエアで代用可)。
❹ ズボン乾きやすくストレッチ性のあるズボンで。
ジーンズは避けましょう。
❺ 靴下登山用の靴下は足が疲れにくくなります。
乾きやすい素材のものがおすすめです。
❺ 登山靴 捻挫防止の為に、ハイカットもしくはミドルカットの
トレッキングシューズを。防水性のあるものがおすすめです。
❻ ポールバランスをとったり歩行をサポートしてくれます。
体力に自信のない人にはおすすめです。
❼ グローブ防風性のあるもの。
雨予想の場合は防水性のあるものがおすすめです。
❽ サングラス山の日差しは予想以上に強いので、
紫外線予防にあると便利です。

※残雪期は、これに加えて軽アイゼン・ゲイター(スパッツ)が必要です。

❷ 乗鞍岳登山の持ち物

登山には意外とたくさんの持ち物があります。季節・天候・登山の目的に適した準備の上、安全な登山をお楽しみください。

乗鞍岳登山の持ち物
❶ ザックカバー急な雨にも対応できるよう、ザックカバーがあると安心。
❷ レインウエア「防水性」に加えて、ウェア内のムレを外に逃がしてくれる「透湿性」のあるものがおすすめ。
❸ 防寒着フリース・ダウンなど季節に合わせて。
ご来光を見る際は、特に防寒対策を。
❹ 水筒水は傷口の洗浄にも使用できます。
1リットル以上持っていると安心です。
❺ 熊鈴乗鞍岳はツキノワグマの生息域です。
❻ 地図・方位磁石自分がどの道で登るのかを確認する為に必要です。
❼ 行動食登山では大量のエネルギーを消費するため、
「行動食」と呼ばれる食べ物で栄養補給を。
❽ ごみ袋登山中に出たごみを持ち帰れる袋を持参しましょう。
❾ 携帯トイレ 万が一のために持参すると安心。
観光センターに自動販売機があります。
❿ 日焼け止め・ティッシュ・タオルなどトイレに紙がない事も多いため、ティッシュは必須。
トイレットペーパーも便利です。リップクリームなども適宜。
⓫ ファーストエイド体調の変化に備えて頭痛薬やお腹の薬など常備薬を。
持病の薬や傷絆創膏も持参しましょう。
⓬ ヘッドライト暗くなると道が見えなくなり危険なので、必須です。
⓭ 現金トイレチップなどのため小銭を多めに。
⓮ 携帯電話・保険証など登山は常に危険と隣合わせ。
健康保険証もしくは、そのコピー、身分証明書があると安心です。

※山小屋に宿泊する場合は、これに加えて着替えと洗面用具を。
※乗鞍岳の登山ガイドマップはこちらからダウンロードできます。

\ その他 感染症対策として /

❶ マスクバス車内のほか、小屋内や売店ではマスクの着用が必須となる場合があります。
❷ 手指消毒液常に消毒ができるよう除菌液やウェットシートの準備も忘れずに。
❸ ジッパー付ごみ袋ティッシュ等のごみはジッパー付ごみ袋で完全密封して持ち帰りましょう。

❸ 乗鞍岳登山を安全に楽しむために

高山帯では、午後は雲が出たり雷鳴がしたり、天気も変わりやすいので、事前に当日の天候を調べ、なるべく早めの下山を心掛けましょう。
また、登山は自己責任が原則です。気候、条件によっては危険も伴います。
下記の注意事項を守って安全な山歩きをお楽しみください。

① 登山計画書の提出

登山計画書は必ず記入し、登山ポストへ投函してください。登山ポストは乗鞍高原内 湯楽里前と畳平にあります。

※登山計画書について詳しくは
長野県「登山計画書を届出しましょう」(外部リンク)

② 無理のない計画

時間にゆとりある計画を。 各自の体力・体調・レベルにあったコースを選びましょう。寝不足や風邪は大敵です。

③ トイレ位置の確認

トイレはコース途中には殆どないので、地図上にある場所で、あらかじめ済ませましょう。
万が一のために携帯トイレを持参すると安心です。観光センターに携帯トイレの自動販売機があります。

※2021年7月現在、肩の小屋奥(宇宙線観測所の方向)の公衆トイレは改修のため撤去されています。

④ 足元に注意

湿った登山道や岩場では転倒や滑落の危険があります。下りの登山道は、両手を空け小股で歩きましょう。

⑤ 落石に注意

頭上と足下にも注意!万一落石が起きた場合は「ラク!」と大声で、下の人に伝えてください。

⑥ 天候の変化

雨・雷・霧・風等、悪天候に変わった場合、速やかに近くの車道や駐車場に出てバス停にて乗車しましょう。

⑦ 登山道のマーク

登山道マークは赤、白、黄色の印か赤い紐など。岩・入り口・ガードレールなどの印を確認しながら進みましょう。

⑧ 環境への配慮

道やロープを外れて歩いたり、動植物採取や、タバコ・ごみなどの放置は禁止です。

⑨高山病にご注意を

乗鞍岳はバスで2700mまで移動するので急激な標高差の変化により高山病にかかりやすいと言われています。頭が痛くなったり吐き気がした時には高山病の可能性がありますので、ご注意ください。

※安全登山についてより詳しくは…
公益社団法人日本山岳ガイド協会 安全登山2021ガイドブック(外部リンク)
A5サイズ(フルカラー 24ページ)(PDF:11,394KB)