雪形(ゆきがた)は、山肌の残雪やそこからのぞく岩肌などの形を、人物や動物などの形に見立てて名前が付けられたものです。全国各地の山々で見ることができますが、ここ乗鞍高原から仰ぎ見る乗鞍岳でも、いくつかの雪形を楽しむことができます。毎年ほぼ決まった時期に姿を現しては、季節が進むと消えていく……その姿にロマンを感じたり、その素朴な姿を見つけては、なごやかな気持ちになったりと、雪形に魅了される人も少なくありません。春の乗鞍高原へ、雪形を探しに出かけてみませんか?
麓から楽しむ乗鞍岳。雪形を探してみよう。
❶ 雪形の違い~ネガ型・ポジ型~
❷ 乗鞍岳で見られる雪形
❸ 雪形が教えてくれること
❶ 雪形の種類~ネガ型・ポジ型~
長野県では山名の由来にもなった蝶の雪形が現れる「蝶ヶ岳」、代かき馬が現れる「白馬岳」などがあるように、多くの山で雪形を楽しむことができます。その雪形には、現れ方の違いでポジ型とネガ型があります。
ポジ型は、山肌に残る雪(雪の白い部分)で作られる形のこと。
ネガ型は、雪が融け、山肌が黒く浮き上がっている形のことです。
❷ 乗鞍岳で見られる雪形
乗鞍岳で見られる代表的な雪形をご紹介します。時期や見上げる場所によって、表情が少しずつ変わるので、その変化していく姿を観察するのも雪形ウォッチングの楽しみです。ここにご紹介するもの以外にも、オリジナルの雪形を探すのも面白そう。高原内のあちこちから乗鞍岳を眺めて、お気に入りの雪形を探してみてください。
鯉
高原の広範囲から見えますが、特に乗鞍BASEからよく見えます。左側が頭で、右側の摩利支天岳にそって尾ひれがのびています。(ポジ型)
・雪形が現れる山:朝日岳~摩利支天岳
・雪形が見える季節:6月下旬
乗鞍岳 雪形全景




❸ 雪形が教えてくれること
雪形は春を告げる風物詩のひとつ。長野県内では、田植えの季節を知らせる農事暦・自然暦として親しまれてきた地域もあります。北アルプスでは、蝶ヶ岳(蝶)・白馬岳(代かき馬)の他にも、爺ヶ岳(種まき爺さん)・常念岳(常念坊)など雪形を山名の由来とした山も多く、麓から仰ぎ見る雪形を農的暮らしと結び付けてきた、そんな山と暮らしの深い関わりを物語っています。
乗鞍岳の雪形は、農作業の合図といった特別な結びつきはありませんが、雪形が現れる頃合いを見計らって「あの辺りを歩いてみようかな」「きっとあのお花が咲くころかな?」と想像を膨らませながら、旅の計画を練るのもいいですね。雪形をのりくらの春の暦にして、乗鞍高原散策を楽しむ…なんて素敵なのりくら時間の過ごし方!雪どけが進み、芽吹く季節の躍動感あふれる春の乗鞍が、雪形と共に待っています。
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