#03 春~初夏に歩きたい新緑トレッキングルート5選

雪融けが進み、春を迎えると、それまでぐっと雪の下で耐えていた植物の芽吹きや花の開花が、この時を待っていたかのように次々と進んでいきます。その勢いはフレッシュで力強く、エネルギーに満ち溢れています。春を迎える喜びや新緑の心地よさをあちこちで感じられるこの時期のトレッキングは、地元の人たちも大好きです。そこで、春~初夏に乗鞍を歩くならここへ!というおすすめのルートをピックアップしてみました。

❶ 一の瀬

乗鞍高原に春の訪れを告げる水芭蕉。その水芭蕉の群生地がある一の瀬は、春から初夏におすすめのトレッキングルートの一つです。水芭蕉の時期は4月下旬から5月の中旬頃。水芭蕉が見頃を終えると、スモモ・コナシ・ミツガシワの白い花が次々に花開き、6月中旬から下旬にはレンゲツツジが見頃を迎えます。

春を迎え、植物の芽吹きと成長がめまぐるしいこの季節。静寂が広がる一の瀬に身を置くと、その植物たちの刻一刻と変化する姿が、より一層際立つように感じられます。ぜひじっくりと、また日を変えて、新緑やその時々の花を味わってみてはいかがでしょう。ネイチャープラザやまいめの池駐車場からコースが広がっています。
のりくら散策ガイドDコース参照)

所要時間:2時間
約4.5km

❷ 善五郎の滝~牛留池~一の瀬へ

例年GWが明けると、高原内は徐々に新緑が輝き、トレッキングに心地の良い季節に入っていきます。新緑のフレッシュなエネルギーを存分に味わいたい方におすすめなのが、このルート。新緑に包まれ、滝や池をめぐりながら歩くと、心と身体がリフレッシュされ、満たされた気分になるでしょう。

善五郎の滝へ向かう「どんぐりの径」は広葉樹の新緑が太陽に透かされ輝いて見え、滝までの気持ちの良い散策を楽しめます。善五郎の滝でスプラッシュを浴びた後は、少し急な登りから始まる「ふたりの径」を経由して牛留池へ。晴れていれば、牛留池の東屋から乗鞍岳の悠々とした姿が目の前に現れ、池に映りこむ乗鞍岳の姿も楽しめます。

牛留池で少し休憩した後は、口笛の径を経由して一の瀬へと下ります。長い下りになりますが、新緑のシャワーを浴びながら、それこそ口笛を吹きつつ歩きたくなるかもしれません。下り終えると、静かな水辺が広がるあざみ池に行き着き、ホッと一息。

あざみ池を後にして、小梨の道を経由しネイチャープラザ方面へと歩きます。その後はサイクリング道を経由して観光センター方面へ向かうのもいいですし、ネイチャープラザから白樺の径を経由し、森の中を歩いて観光センター方面へ向かうルートもおすすめです。行動食やランチをもって、ぜひゆったり歩いてみてください。
のりくら散策ガイドEコース+α 参照)

所要時間:3~4時間

❸ 乗鞍岳を一望できる見晴岩へ

新緑の季節にぜひ足を運んでいただきたいのが、知る人ぞ知る「見晴岩」へ向かうルートです。例年5月の下旬頃、愛らしい二リンソウの花が足元にほころびます。そして新緑のカラマツ林を登っていくと、絶景の待つ見晴らし岩が現れます。

見晴岩は、乗鞍岳を目の前に仰ぎ見ながら高原内を眼下に見渡せる、とにかく最高に気持ちの良い場所です。誰でも思わず歓声を上げたくなり、いつまでもいたくなる、そんな特別な景色が待っています。見晴岩での景色を堪能した後は、来た道を引き返してもいいですし、そのままルートを進むと白骨温泉へと至ります。

※見晴岩に登る場合、特に小さなお子さんは落下等にご注意ください。

所要時間:1.5~2時間

❹ 妖精に出会える原生林の径

「森の妖精」と言われる真っ白いギンリョウソウが原生林の径に現れるのは、例年6月の末~7月の初め頃。その姿や佇まいはとても愛らしく、落ち葉の間からひょっこりと頭をのぞかせ、木漏れ日の中で透明度が増します。ギンリョウソウは別名「幽霊草」とも呼ばれる腐生植物。この森で共生関係を築き、私たちを楽しませてくれる魅力的な存在です。雨が降ると苔が美しく輝き、森の妖精たちも喜んでいるように見えます。

原生林の径は、主にコメツガやシラビソの針葉樹からなる、原生の雰囲気が漂う静かな森。県道の出口付近には、地元民に「トトロの木」と呼ばれ親しまれているシナノキの巨木が佇んでいます。足元にはゴゼンタチバナやマイヅルソウなどの花も咲き、神秘的な森歩きを楽しんでいただけます。

所要時間:1.5~2時間

❺ 番所大滝~千間淵遊歩道

春を迎えたら歩きたいのがこのルート。山からの雪融け水が集まり、落差40mを一気に流れ落ちる番所大滝の姿に、力強く流れゆく自然のパワーを感じられます。全身に響き渡るような滝のエネルギーをもらったら、来た道を戻り、千間淵方面へ。道中では、火成岩の表面に割れ目が入り石の板を重ねたように見える「板状摂理」を発見できます。

小大野川の流れを感じつつ、小滝や千間淵などでゆったりとした時間をもって、心地よさに委ねてみましょう。千間淵とは、ドーム型をした淵の奥に小さな滝がある場所です。流れを別にする前川で千間の量の薪を流したところ、ここへ流れ着いたことからこの名が付きました。自然に大切に包まれ、受け止めてもらえるような感覚を味わえるかもしれません。
のりくら散策ガイドBコース 参照)

所要時間:約1時間
約1.2km