毎年秋になると、渡り鳥たちは寒い冬に備えて、あたたかい南国へと旅立っていきます。乗鞍高原と奈川をまたぐ白樺峠は、バードウォッチャーの聖地と言われており、鳥好きには有名な「タカの渡り」を見ることができる日本有数のスポットです。多い時には一日に3000羽ものタカたちを観察することができます。おやつやお弁当を持って、タカの渡りを見にゆったり出かけてみませんか?
白樺峠へタカの渡りを見に行こう
❶ タカの飛翔を肉眼でも観察できる白樺峠
❷ 運が良ければ見られる「タカ柱」
❸ タカの渡りを楽しむ際に気を付けたいこと
❹ 白樺峠へのアクセス
❶ タカの飛翔を肉眼でも観察できる白樺峠
毎年、タカの渡りが始まるのは9月の中旬頃。白樺峠の登り口から歩いて15分ほどで着く「たか見の広場」で観察することができます。シーズン中は、たくさんのバードウォッチャーが訪れる他、信州ワシタカ類渡り調査研究グループの皆さんが、通過するタカの数を種類別にカウントする調査を毎日続けています。
渡りの時期が来ると、まず飛び始めるのはサシバやハチクマです。ピーク時には一日に1000羽を超えることもあります。10月の初めごろからはノスリやツミの数が増え、その他にもミサゴ・トビ・ハヤブサなど15種類ものタカが見られるのが白樺峠の魅力。11月初旬までのシーズンを通して15000羽ほどが飛び立つ姿を確認することができます。肉眼でも見えますが、双眼鏡を持って行くと、より詳細に彼らの姿をとらえることができます。また、望遠レンズで一斉にタカの姿を追うバードウォッチャーの姿も圧巻です。
❷ 運が良ければ見られるタカ柱
白樺峠はバードウォッチングの聖地とは言え、シーズン中いつでもタカが見られるわけではありません。タカは雨の日には飛びませんが、晴れ間に一気に飛び立つことがあります。また雨が数日続いた後や、その翌日の晴れた日に多く飛び立つ傾向があるとも言われています。時間帯はお昼前後がピークとされていますが、そこは自然相手。ゆとりをもった計画でおでかけください。
タカたちは、地表が太陽光で温められることによって発生する上昇気流をとらえて、旋回しながら上空へと上がっていきます。そのタカが同時にたくさんいると、旋回するタカたちが柱のように見えることがあります。これが「タカ柱」です。そして、ある程度の高さまで上ると、ある方向へスーッと滑らかに流れるように飛んでいきます。その悠々と飛翔していく光景はとても美しくて壮観!何度でも見たくなってしまいます。この後、海を越えていく際も、旋回して旋回して流れて…を繰り返しながら、なるべくエネルギーを使わずに旅を続けていくようです。タカが一羽、二羽と次第に群れになって姿を現してくると、広場全体が歓声やシャッター音と共に盛り上がります。そんな一体感もまた、タカの渡り観察の楽しみの一つです。


❸ タカの渡りを楽しむ際に気を付けたいこと
標高1600mの白樺峠は、朝夕は冷えるので、ダウンなどの防寒着が必要です。晴れていると昼間は気温が上がるため、調節のできる服装がベターです。また、近くにはコンビニ等のお店がないため、事前におやつやお弁当、飲み物を多めに用意されることをおすすめします。観察地にはベンチもありますが、数が限られているので、簡易の椅子やレジャーシートがあると便利。トイレは、駐車場とたか見の広場脇にあります(有料)。有志の方々が管理していますので、感謝してきれいに利用しましょう。
その他、観察地には下記の注意事項がありますので、マナーを守って楽しんでください。
・山菜やきのこ等の採集は禁止
・キャンプやバーベキューをする場所ではありませんので火気厳禁
・ゴミは持ち帰る
・ペット等動物はご遠慮下さい(犬の鳴き声でタカが近くを飛ばない場合もあります)
・たくさんの人が利用する場所ですので、お互いに迷惑にならないよう、譲り合って観察してください。
白樺峠の駐車場すぐ脇に、たか見の広場への入り口があり、歩きやすい遊歩道が整備されています。案内図もあるので初めての方でも安心。15分ほどこの遊歩道を歩いていくと、たか見の広場へ到着します。遊歩道の途中、右に折れると「乗鞍岳眺望広場」があり、晴れていれば乗鞍岳の美しい姿をここから楽しむこともできます。自然相手のバードウォッチング。観察には待ち時間も多いので、おやつや読書、おしゃべりをしながら、ピクニック気分でのんびりと過ごしてみてはいかがでしょう?
タカの渡りに関する詳しい情報は「信州ワシタカ類渡り調査研究グループ」のHPをご覧ください。シーズン中は、毎日の観測数や周辺道路の通行止め情報などがアップされています。
〈白樺峠へのアクセス〉